僕は釣りを覚え、釣ってきた魚をさばき刺身を作ることがうれしかった。もっぱら釣りの獲物は鰈。とはいっても、ヘボ釣り師なので、あがるのは手のひら鰈。といっても、ほとんど乳児のような手のひら鰈。”おい、リリースだろう、そのサイズ”という大きさのものもヘボ釣り師はしっかり針を呑まれてしまっているから、リリースしても浮いてしまう状態。ということで、きれいにさばかしていただきました。おかげで、ギネス級の刺身を作れる腕前に。って、いうかもっと食感のある刺身を食べたいよね。

そんなある日、僕もしっかり料理の一つも出来るようになったよねと話したら、妻から「刺身は料理じゃない。」と言われ、愕然。

そんな風に言われるならと、料理を始めることに。

伊丹十三氏が「女たちよ」という本の中で、スパゲッティーの茹で方に細やかに書いていたことを思い出し、スパゲッティ=イタリアンを始めた。

アルデンテを求めて、あちこち食べ歩き、正解がどこにあるか調べた。結局解らずイタリアまで食しに行った。そこで、イタリア人と話したら、自分がいいと思ったところがアルデンテ。作るものによって、固さは変わるし、いちいち気にしない。旨きゃいいのさという言葉に納得したものだった。そのシンプルな考え方に大いに賛同し、イタリアンをもっとまじめに勉強しようかと思っていたら、wowwowで本格イタリアンの番組をやると知った。そこで、毎週ビデオに録って練習しようと。

それが、サルヴァトーレ・クオモ氏のボナ・セーラという番組だった。

トマトソースの塩味はどのくらいですか?の問いに、トマトに聞かなきゃわからないとトマトソースを味見して、ああ今日は酸味が強いからこのくらいみたいな展開に、今までの料理の作り方と違った合理的で、きっとイタリアのマンマもこうやって作るんだろうなと思い、感激してはまった。

途中体調を崩されたと番組は弟さんが代打で出演たりしていたが、もう居ても立ってもいられなく、クオモさんのお店(わかりずらいところだったなぁ)までお邪魔してTVと同じ場所だと思いつつ食事をした。

で、なんでこんな昔話をしていたかというと、これも僕的パンドラの匣だった。

杜劇祭の「イサムよりよろしく」を行う会場がカフェ・シナモン・エ・ラパン。ここのオーナーはジーノさんというイタリア人。なんと彼は、サルヴァトーレ3兄弟だったのだ。クオモさんが長男で、ボナセーラに代打で出たのが次男さん。そしてジーノさんが三男ということなんだね。先月末に仙台にオープンしたての新しいお店がなんと僕のイタリアンの師匠(ビデオでだけど)縁の店と知って俄然テンションあがることに。

こんな風に関われることに感謝だね。今度ジーノさんに会ったら、そのお話をしなきゃ〜ね。

忙しいことをいいことに、忘れてしまったこと、勝手に置いてきてしまったことなどを顧みてみよというサインなのかも知れない。

僕にとって、なんともいえないパンドラの匣な毎日だ。